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試験的なイラストぶろぐ
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対魔征伐係.173「閑流の実力」


日曜の夜。
町外れにある今は入居者の居ない空きビルの前に何時もの三人と閑流が居た。
「・・・え、何で閑流ちゃんが・・・?」
真司が閑流を仕事現場につれてきたことに驚きを隠せない恵理佳。
「あぁ・・・それはな・・・」
「はい、毎日修行をしている身とは言え、やはり実戦はまた別のものですので・・・」
「・・・・ってことだ」
真司の説明途中に閑流本人からの説明が入り、恵理佳に理由を話す二人。
「・・・でも、危ないんじゃ・・・」
「・・・お前な・・・閑流から話を聞いていなかったのか・・・?」
「ううん、それは聞いたけど・・・」
困惑気味の恵理佳はどうやら話には聞いていたが、やはり閑流が真司の師匠という事実は話半分だったようだ。
それは今でも真司自信がまだ信じられないと思うのだから仕方の無いところかもしれない。
「・・・その子・・・誰?」
「おおっと・・・そういえば雪菜にはまだ紹介していなかったな」
今まで黙って話を伺っていた雪菜が口を開く。
仕事の前ではあるが、これからの仕事を円滑に進めるためにも今までの経緯を簡単に説明することにした。


・・・


「・・・そんな・・・そんな小さな子が・・・」
「・・・いや、雪菜の気持ちはよく分かるんだが・・・」
話を聞き終わった雪菜はやはり驚きの顔をしていた。
こればかりは誰に話しても無理からぬことである。
「これでも剣の腕前は本当・・・」
「私が居るのにッ!!」
「・・・は?」
とりあえず納得させようとした真司の耳に想定外の雪菜の言葉が聞こえた。
「私というこんな可愛い恋人が居るにもかかわらず・・・こんな小さな子と同棲するなんてッ!」
「・・・いや、まぁ待て」
どうやら真司の考えていたコトと雪菜の考えていたコトは全く別のことだったようだ。
「真司がそんなロリコンだったなんて知らなかった!」
「お前、馬鹿かッ!!同居だって言っただろ!?誰が同棲なんて言った!!」
人気のない夜の空に男女の声が木霊する。


「・・・あの二人は、止めなくていいのですか?」
「・・・何時ものことだから・・・」
「・・・恵理佳殿も大変ですね・・・」
「・・・ありがとう」
目の前で繰り広げられている痴話喧嘩を傍観している二人。


「・・・いいか?同居と同棲は似ているようだが別物だ」
「うぅん・・・分かったー・・・」
真司の必死の説明により、何とか納得した様子の雪菜。
「・・・遅れましたが、雛森閑流と言います、よろしくお願いします」
「え?あ、うん、こちらこそー」
二人の痴話喧嘩が収まった頃合を見計らって改めて自己紹介をする閑流。
丁寧に名乗り、お辞儀をする閑流に戸惑いながらもお辞儀をしながら返事をする雪菜。
やはり閑流の見た目とその言動のギャップには誰でも最初は困惑させられてしまう。
「・・・雪菜殿は真司が言っていた通り、本当に人畜無害な妖怪なんですね」
「・・・それも・・・妖怪的にはどうなのかなって思うけど・・・まぁ、ありがとう・・・?」
どうやら閑流は雪菜の言動と雰囲気でおおよその人柄(?)を察した様子だった。
「・・・んじゃ、いい加減にそろそろ仕事を始めるか」
もう時間も時間だったので仕事を始めるべく、空きビルの中へと中村から預かっていた鍵を使い、入っていく。


「・・・今回はどうだ?」
「ううん・・・多分一匹かなぁ・・・感じる雰囲気からだと・・・最近良く見る人型じゃないかも」
今回も雪菜レーダーを頼りにビルの階段を昇っていく。
そして、四人は三階のとある部屋の前までやってきた。
「うん、間違いなくここに居るね」
「よし、それじゃ行くぜ」
雪菜の言葉を聞き、ある程度用心しつつその扉を開ける真司。


流石に空きビルだけあって部屋の中は閑散としており、特に物といった物が無かった。
だが廃ビルと言うわけでもなかったので、室内そのものは埃こそあれ、破損しているような部分はない。
おかげで室内に佇む異形の姿は一目で分かった。
少し前には頻繁に見かけていた外見の災忌で、半獣半人という見た目をしている。
「・・・それじゃ、閑流に一任で大丈夫か?」
「はい、任せてください」
相手がこちらを威嚇するような眼で睨んでいるが、距離もあり、襲ってくるような気配は今のところ感じなかったので話を進める。
「え・・・ちょっと、兄さん!?」
「大丈夫だって・・・それにこれから一緒に仕事をしていく仲間の実力はしっかりと把握しておかないとまずいだろ?」
真司の言葉に心配そうな顔をする恵理佳だったが、真司は平然と説得をする。
「それはそうだけど・・・でも、一人でなんて・・・」
「私も見ていればいいの・・・?」
閑流と実際に手合わせをしている真司は安心しているが、まだ閑流の実力を知らない二人は心配そうである。
「あぁ、見ているだけでいいぞ。俺も・・・実戦での閑流を見てみたいしな」
真司自身、修行のときの動きは見ていても、実戦となると今回が初めてである。
閑流とは、家を出るときに今まで何度も実戦は経験しているという話は聞いていた。
対災忌戦もあるという話を聞いているので、災忌の霊膜に対しての対処も出来ているということだろう。
「・・・では、行って来ます」
「おう」
閑流はそれだけ言うと、数歩進み、目の前の災忌と目を合わせる。


相手の災忌は目線を逸らすことなく威嚇し続けている。
閑流は刀を抜くことは無く、鞘に収めたまま、柄に右手を添えて様子を伺っている。


・・・


それからどれほど経過したのか、時間にして数分だろうか。
お互いに動くことは無く、睨み合いが続いていた。
だが、そんな均衡を先に破ったのが災忌の方だった。
その様子はまさに、我慢しきれなくなったという言葉が適切だった。
じりじりとある程度まで距離を詰め、一気に閑流の小さな体躯に飛び掛った。
流石に実力を知っている真司も冷やりとさせられる瞬間だった。
だが・・・
「・・・遅い」


1p610.jpg


災忌が飛び掛ったと思った次の瞬間には閑流の姿は災忌と交錯していた。
そしていつの間にか刀は抜かれており、何時振られたとも分からない刃は既に鞘へと収められようとしている。
当の災忌は何が起こったのか理解することも無くその場に崩れ落ちている。
まさに一閃と言う表現が正しい戦闘だった。
真司の脳裏には閑流から言われた無駄が多いという言葉が過ぎる。
「・・・マジか・・・」
そんな様子を見ていた真司は思わず出た言葉がそれだった。
「すっごーい♪」
雪菜は思わず閑流の元まで向かいその頭をぽんぽんと叩きながら褒め称える。
「・・・いえ、今回は相手が相手でしたので・・・」
閑流は照れるようなこともなく、謙遜かどうかも分からない返事をする。
「閑流ちゃんは本当に凄い強いんだね・・・感心しちゃう・・・」
恵理佳も閑流の元まで行き、その強さを称える。
「うんうん、真司よりも全然強かったね~」
「・・・」
雪菜の正直な感想に複雑な心境の真司。
「そうね・・・凄い落ち着いていたし、しっかり相手の様子も見ていたし・・・兄さんよりも全然安心して見てられたかも」
「・・・・・・」
恵理佳の正直な感想に複雑を通り越し、ブルーが入ってくる。
そんな真司に気がついたのか、閑流がやってきた。
「・・・真司はまだまだ伸びますから・・・気にしてはダメですよ」
「・・・それは・・・どうも・・・」
閑流としては良かれと思っての発言で最後の止めを差された真司。
閑流の実力を見れたのはいいことだったが・・・
その代償は余りにも大きかったのだった。


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シンヤ(nanpP

Author:シンヤ(nanpP
・東方では始めて会った時からレミリア一筋。
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