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対魔征伐係.76「陽那と遊ぶ②」


「・・・疲れたな・・・」
夕方、地元へと帰ってきた二人は遅めの昼食(夕食)をファミレスで取っていた。
午前中から夕方までほぼ一日中プールで泳いでいた所為でだいぶ疲れていた。
目の前にあるハンバーグセットをダルイ手つきでもそもそと口へ運んでいる真司。
「先輩はこの後も暇でしょ?」
「・・・何で決定事項なんだ・・・まぁ、否定出来ないんだが・・・」
そんな真司とは対照的にまだまだ元気な陽那が今後の予定を聞いてきた。
「それじゃ、カラオケ行こう?」
「・・・マジですか」
陽那の口から予想外の言葉が聞こえてきた。
思わず率直に聞き返す。
「ボーリングとかじゃないだけマシでしょ?」
「・・・いや、それはそうだが・・・」
確かにマシといえばマシだが、論点が違う気もする。
現状で既に体中は程よい疲労感と眠気に満たされている。
この空調の効いた店内ならば目を瞑れば数分で安眠出来そうな程だ。
「じゃ、決定ね」
「・・・分かった分かった・・・」
乗りかかった何とやら・・・目の前で俄然元気になっている陽那に断りを入れることも出来ず、渋々承諾する。
その後は適当に食事を済ませ、近場のカラオケ店のフリータイムに合わせるために話しながら時間を潰した。


・・・・・・


「それじゃ私から入れちゃうよ」
「おーう、ガンガン入れていいぞ」
カラオケへ予定通りフリータイムで入室した二人。
部屋へ入り、一息つく暇も無く陽那はリモコンで曲を入れ始める。
真司は適当に新譜などを流し見している。
しばらくすると耳に何処かで聞いたことのある曲が入って来た。
「ん・・・コレは最近テレビか何かで聞いたな・・・」
「そうそう、シーエムで使われてるヤツ」
「あー、なるほど」
何時も適当に音楽代わりに垂れ流しているテレビで聞いた覚えがあると思ったらどうやらシーエムで使われている曲らしい。
マイクを片手に陽那は曲を歌い始める。
曲調や歌手名からして、恐らく最新の新譜だろう。
そんな新譜もバッチリ外すことなく詰まることなく歌い上げていく陽那。
流石はカラオケ大好き娘である。
そんな美声を聞きつつ真司も自分が歌う曲を選曲する。


陽那の素晴らしい歌が終わり、真司の番になる。
陽那の入れた曲ほど最新というわけではないが、そこそこ新しい邦楽だ。
真司もカラオケは頻繁にではないが、行く方なので、ちょくちょく新譜のチェックはしている。
「相変わらず先輩はこうゆう曲好きだね」
「陽那の選ぶような曲と大差ないだろ?」
「そうなんだけどね」
真司も陽那も揃ってアップテンポの曲を好んで歌う。
演歌やバラードなどはお互いに滅多に歌うことはない。
どちらもノリ重視で選ぶ傾向にあった。
おかげでカラオケが終わることにはへとへとになっていることが多い。
只でさえ今はプール帰りで疲労しているのに更に疲れようとしていた。


「次は私~」
「・・・洋楽か・・・流石だな」
真司が歌い終わり、また陽那の番になると全編英語の歌詞の曲が始まった。
陽那の歌い方や歌手名からするに洋楽のようだ。
とても呂律が回らないような英単語の連続も滑らかに歌い上げる陽那。
男の真司から見てもカッコイイと思ってしまう。
校内で男子より女子から人気があるのが納得出来る一面である。


・・・・・・


そんな調子で交互に歌い続けることしばらく・・・どれほど経過したのだろうか。
少なくとも数時間は歌い続けていた。
真司もいい加減に疲れてきたので多少落ち着いた曲を選び始めた頃・・・
「・・・ん・・・?」
「・・・すぅ・・・」


1p491.jpg


肩に負荷を感じた真司が顔を向けると陽那が凭れ掛かるようにして眠りについていた。
「・・・やれやれ・・・」
どうやら真司と同じく陽那も相当疲弊していたようだ。
テンションで誤魔化していたのも限界に来てしまったのかもしれない。
真司は手に持っていたマイクを机へ置き、代わりにアイス珈琲の入ったグラスを手に取る。
幸か不幸かフリータイム中なので起こすことはせず、しばらく様子を見ることにした。
(こうして見れば・・・なぁ・・・)
真司の肩に僅かに負荷を掛けて眠りに着いている陽那を見ればしっかりと異性として見ることが出来る。
だが・・・普段からクラスの男友達と同様に気の合う友人として接してきた間柄の陽那。
今更異性として見ることは難しいかもしれない。
(・・・下手な男より男らしいくらいだしな・・・)
あどけなさが残る可愛らしい寝顔を見ているとそんな考えも薄れそうになるが、また目を覚ませば元に戻ることだろう。
(・・・こいつが男作るとか・・・想像出来ないな・・・)
そんな失礼なことを思いつつ、グラスを傾ける。
この後、しばらくして目を覚ました陽那は何事も無かったようにまたハイテンションで歌い始めたのだった。




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Author:シンヤ(nanpP
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