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試験的なイラストぶろぐ
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対魔征伐係.18「買物へ行こう③」


(・・・眠い・・・)
真司たち一向は買物を無事に済ませ、市内の映画館に来て居た。
せっかく市内にまで出てきたのだから雪菜に街中を見せるという意味合いも兼ね、真司のバイト時間まで街中をぶらつくことにしたのだ。
そうして街中を歩いていると映画館が目に入った。
上映していた映画は2本。
動物の涙有り笑い有りの感動洋画。
銃撃戦有り格闘戦有りのアクション洋画。
即答で真司は後者を選択した。だが・・・
リーダーである恵理佳の意見に上手いこと騙された雪菜が敵に回ったことで、多数決により動物映画を見る羽目になってしまったのだった。
そして案の定、真司は開始数分で睡魔と戦っていた。
恵理佳は最初から随所に出てくる動物たちに釘付けだった。
雪菜も始めてみる大型スクリーンに映し出される映像そのものに釘付けだった。
そんな少女二人を尻目に真司は三十分も経たずに夢の中へと逃避行してしまった。


「・・・兄さん、そんなに退屈だった・・・?」
「あぁ、いや、そんなことはー・・・ないこともないがー・・・」
映画鑑賞終了後、恵理佳に信じられない的な顔で聞かれ、思わず言葉に詰まる。
「凄かったわぁ~・・・時代は変わっているのねぇ~・・・」
「まぁ・・・だいぶ変わってるな・・・」
真司を中央に恵理佳は右側、雪菜は左側をくっ付いて歩いていた。
二人とも手ぶらだったので、両手に持っていた紙袋を持ってくれと言いたくなったが、流石に男として言うに言えない心情だった。
しばらくは市内をまたぶらついていると賑やかな音が聞こえてくる。
「お、ゲーセンか。寄って行こうぜ?」
「げーせんって何々~?」
中々規模の大きい3階建てのゲームセンターの前までやって来た。
ゲーセンは友人ともよく行く場所なので、真司にとっては馴染みの場所だ。
雪菜も興味津々である。
「いいけど・・・私、何も出来ないよ・・・?」
「なーに、キャッチャーでもプリクラでもあるし、無い事はないさ」
人ごみと騒がしいところが苦手な恵理佳は嫌な顔こそしなかったものの、困り顔だった。
そんな恵理佳の背中を強引に押し、ゲーセン内へと足を踏み入れる。


ゲームセンターの内部は1階が大型筐体。2階がアーケード筐体。3階がカードゲーム筐体となっていた。
それぞれのフロアはかなり大きく、多数のゲーム筐体が置かれている。
(流石に今日は1階だけで十分だな・・・)
本心では2,3階も覗いて見たかった真司だが、流石にそこまで自己中心的ではない。
「まぁ、とりあえず1階で適当な・・・」
ゲームセンター初心者の少女たちにレクチャーしようと話しかける。
だが・・・
「・・・いねぇし・・・」
雪菜は見るもの全てが珍しいらしく、子供のようにフロア内を走り回っていた。
恵理佳は恵理佳で目の前にあるキャッチャーの前に釘付けだった。
「・・・そんなに欲しいならやってみれば良いじゃないか」
「うぅん・・・私こういうの苦手だし・・・可愛いんだけどね」
キャッチャーの前でケースの中の人形を見つめていた恵理佳の横へ行き、話しかける。
ケースの中には馬鹿でかいクマのぬいぐるみがある。
幸い、位置的には悪い場所ではない。
「仕方ないやつだな・・・」
両手に持っていた荷物をその場に置き、財布から小銭を取り出す。
「い、いいよ、欲しいなんて言ってないし・・・」
「・・・言ったようなもんだろうが」
恵理佳の言葉はスルーしつつ、コインを入れ、軽快な音楽が流れる中、目標を定める。
吊り下げられたクレーンがクマの首元目掛けて下ろされる。
「あ・・・」
クマの巨体がふんわりと浮いた。
思わず恵理佳は声が漏れる。
このままいける。そう思った矢先・・・


ぼとっ


「「・・・」」
出口へ繋がる穴に入る前にクマの人形は地面へと落下してしまった。
半分ほど移動しただろうか。
「クマの分際で生意気な・・・」
意味のわからない愚痴を言いつつ、再度コインを入れる真司。
恵理佳も真剣な眼差しで見守っている。
またもや軽快な音楽が流れる中、クレーンを移動させる。
今度もまた、クマの首元をしっかりキャッチ。
そのまま穴の方へと移動する。
そして・・・


ぼと・・・どさっ!


「ま、ざっとこんなもんだな」
今までも何度もキャッチャーで景品を取ってきた真司。
最初の場所が悪くない限りは取れる自信はあった。
「・・・兄さん、凄い・・・」
恵理佳は今まででも滅多に見たことのないような羨望の眼差しで真司を見つめる。
「ほれ、お前がちゃんと持って帰れよ?」
「あ、ありがとぅ・・・」
出口から多少引っ掛けつつも巨大クマを取り出し、恵理佳へ手渡す。
恵理佳は幸せそうに巨大クマを抱きかかえている。
「しんじぃ~!私も欲しい~!!」
「・・・仕方ないな」
一部始終を見ていたのか、雪菜も真司の傍へやってくると、ケースに鎮座している白クマを指差し強請って来る。
流石に恵理佳だけというのはアレだと思い、白熊ハントへと挑む真司だった。


「・・・変な集団になったな・・・」
「「そう・・・?」」
白熊ハントも無事に成功させた一行。
だが、その所為で少女二人は上半身ほどの巨大クマをそれぞれ抱きかかえ、真司は両手に大きな紙袋を持ち・・・
街中を闊歩すれば間違いなく目立つ集団だ。
「・・・気晴らしにガンシューでもするか・・・」
キャッチャーコーナーの奥にはガンシューティングの筐体が何種類か置いてある。
その中でも新作の筐体が空いていたので早速移動し、荷物を降ろす。
「何これ~?」
雪菜はやはり始めてみる筐体に興味心身だ。
恵理佳もやったことはないらしく、ものめずらしそうな顔をしている。
「ん~?百聞は一見にしかずってな」
真司も何度かやったが、そこまで長持ちはしないゲームだった。
ならば、自分がやる前に二人にやらせて、その後でやればいいと考えた。
早速真司は二人に軽く説明をすると、協力してプレイするように促した。


コインを入れ、タイトル画面・・・真司はスタートボタンを押す。
銃をホルダーから抜き、構える二人。
画面にはゾンビが画面狭しと沸いて出てくる。
(どんなもんかね・・・)
最初は何も言わずに様子を見ようと決めていた真司。


ドッ・・・ドド・・・ドンッ


湧き出てくるゾンビがこちらに向かって迫ってきた瞬間、恵理佳の弾丸は的確にゾンビの頭を撃ち抜いていた。
いわゆるヘッドショットというやつだ。
力が入らないように片手で銃を持ち、軽いスナップで画面外へ向けリロード。
最小限の動きで確実に多数のゾンビを一撃で撃ち抜いて行く。
(・・・し、素人じゃねぇ・・・)
まさに、驚愕の光景だった。


ドンッ・・・ドドドドドッ・・・ドドドドッ!!


隣の雪菜は恵理佳とは対照的だった。
ゾンビに一度も攻撃されることなく撃ち抜いているのは同じなのだが・・・
雪菜はゾンビの体中に弾丸を撃ち込んでいる。
一体につき、3,4発は撃っているだろう。
そこまでは素人らしいのだが、画面外へ向けリロードする速さが尋常ではなかった。
更に、ゾンビが沸いて出た瞬間に既に弾丸は向けられているのだ。
(マジか・・・)


1p423.jpg


二人に共通して言えることは、ありえないほどの反射神経の良さだ。
プレイスタイルに違いはあるものの、反応速度は常人とは思えない速さだった。
恵理佳は運動、武術全般が得意。反射神経の良さは納得だ。
雪菜は・・・そもそもとして、人間じゃない。
(・・・俺、出番ないんじゃないか・・・)
そんな真司の妙な心配を他所に二人は無傷でゲームを進めていく。


「ん~、面白かった~!恵理佳には負けたけどー!」
「雪菜ちゃんは少し撃ち過ぎだったわね」
結局、差して危なげも無く1コインクリアーを成し遂げた二人。
二人で協力プレイだということを差し引いても素晴らしい腕前だった。
「兄さんはやらないの・・・?」
「・・・おなかいっぱいです・・・」
わざわざ二人の前で醜態を晒す気はさらさらなかった。
話題を逸らすようにその後はプリクラコーナーや音楽ゲーム筐体のコーナーを回った一行。


・・・・・・


「それじゃあ今日は助かったわ。二人とも、礼を言うわ」
「いえ、私たちも市内で楽しんできましたし、お礼を言わなければならないのはこちらです」
真司のバイト時間が迫っていたので一行は郁に連絡を入れ、学校前まで送ってもらった。
雪菜はこのまま郁と共に帰宅コースのようだ。
郁の車を見送った後、真司と恵理佳は途中までは同じ帰り道を歩き始める。
「・・・兄さんが雪菜ちゃんの封印を解いたって聞いたときは正直驚いたけど・・・」
「ん・・・?」
夕暮れに染まる通学路を二人並んで歩く。
「今日会ってみて・・・良かったって思った・・・雪菜ちゃん、いい子ね?」
「ま、五月蝿いくらいに明るいのがアレだがな・・・それに、雪菜の方がずっと年上だぞ・・・?」
「ふふ、歳と精神年齢は比例しない。新しい発見ね」
「・・・ごもっともだ」
雪菜に聞かれていれば間違いなく食いつかれそうな話題を話しつつ、二人は各々の家への岐路までやって来た。
「・・・ねぇ、兄さん・・・?」
「んー・・・?」
「・・・その、また、行かない・・・?」
色々と言葉足りない恵理佳の問いかけだったが、その表情が足りない分は補っていた。
「前日にいきなり誘いでもしなければ何時でも付きあうさ。俺からも暇なときは誘うし」
「ん、楽しみにしてるね」
「恵理佳がまさかゲーセン好きだとは思わなかったけどなぁ」
「・・・そういう、わけじゃないんだけど、ね・・・」
「・・・?」
別れ際に真司の考えを否定するような物言いをしつつ恵理佳は早足で帰路へと着いた。
「・・・どういうわけなんだ・・・」
巨大なクマのぬいぐるみの影が消えるまで見送った真司は頭を捻らせつつ帰路へと着いたのだった。



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Author:シンヤ(nanpP
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