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試験的なイラストぶろぐ
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対魔征伐係.6「週末の過ごし方①」


「これで明日は1日フリーか・・・長かったな・・・」
「今週は郁先生が来たりと色々あってあっという間だったなぁ♪」
「ん・・・どうした?」
「いや、何でもない・・・」
ファミリーレストラン・ピアチューレの男子更衣室。
バイトを終え、着替え中の真司と凌空はいつものように雑談に興じていた。
真司が浮かない顔をするのも仕方のないことだった。
郁が来てからというもの・・・
学校が終わる→日が暮れるまで裏山で郁のスパルタ修行→午後11時までバイト→帰宅→成す術もなく睡眠。
その繰り返しの日々を過ごしていたのだ。
このバイトが真司にとって苦痛ではなく、疲れるけど楽しい仕事だったのが唯一の救いだった。


「じゃあ明日は予定通り、俺は午前中部活だからさ」
「あぁ、正午前後に駅前だな」
着替えも終え、二人は店を出ながら明日の予定を確認しあった。
流石の郁も週末くらいは(自分が)休みたいらしい。
日曜の夜はバイトが入っているが、土曜だけは完全にフリーとなる至福の1日だった。
こうして翌日の予定も確認し終えた二人はそれぞれの家の分かれ道で軽く手をあげながら別れた。


(そろそろ11時20分か・・・)
そんなことを思いながら夜道を歩く真司はポケットに無造作に突っ込んであった携帯電話を手に取った。
携帯の時計を見ると11時19分。
惜しくも1分ほどズレていたが、流石にパターン化されている行動だけあって予測もほぼ的確だ。


♪~~♪~


「お、毎度毎度確実だな」
いつもの時間にいつもの着信音が鳴る。
手馴れたもので、2コールほどで電話に出ることが出来た。
『もしもし、兄さん?』
「あぁ、俺の携帯なんだから俺しか出ないだろ?」
『・・・』
「いや、冗談だって。それで、明日のことなんだが・・・」
『うん』


1p410.jpg


電話の相手はいつもの通り、従兄弟の恵理佳だった。
用件は聞くまでもなく、翌日の土曜日の予定だろう。
真司は土野市内のマンションに一人暮らしをしている。
だが、生活能力が限りなくゼロに近い。
そんな話を数年前に恵理佳にしたところ、週1で掃除をしに行ってあげると言われたのだった。
掃除嫌い(むしろ家事全般だが)の真司は喜んでお願いをした。
平日はお互いに学校があり、しかも真司はバイトもしていた。
消去法により、土曜日に恵理佳が真司のマンションへ来ることになったわけだ。
それ以来というもの、毎週金曜のこの時間に連絡が入り、翌日は希望の時間に来てくれるようになった。
しかも、明日真司は凌空と遊ぶ約束をしている。
最初は恵理佳一人だけ家に残して家事をやらせているのは流石に忍びないと言っていた真司だが、
恵理佳曰く「居るだけ邪魔だから」と酷い言われようをされて以来、遊ぶ約束が出来れば家に恵理佳を残してぶらぶらと遊びへ出かけていた。
自分は楽しく遊んで帰って来ると家は見違えるほど綺麗になっているのだから、贅沢極まりないことだ。


「明日は凌空と昼頃に駅前で待ち合わせしてるからー・・・11時くらいに起こしてくれ~」
『分かった、じゃあそれくらいに行くね。あ、それから・・・』
「ん・・・?」
『朝ごはんは何か食べたいものある・・・?』
「あー・・・ちゃんとした白い飯が食いたいなぁ・・・」
『・・・兄さん、ちゃんと自炊するって言ったじゃ・・・』


ぴっ


通話終了。
(・・・いつもは口数少ないくせに妙に多くなるときがあって困るぜ・・・)
我侭を言うだけ言って、妹の小言は途中で切ると言うとても酷い兄だった。
それでも明日はきっと時間通りに来て要望どおりの朝食を用意してくれるのだろう。
(・・・躾が厳しい家柄だとこういうところで頼もしいなぁ・・・)
恵理佳の家はあの高嶺家だ。
昔からその躾の厳しさは真司も遊びに行っていたので良くわかっている。
大方この週1での通い掃除も自分か恵理佳の母親が言ったのではないかと考えていた。
こう見えても真司の家もそこそこの家柄である。
母親は厳しかったが、今は亡き父親がとても大雑把な人間だったので息子がこの様になってしまったのである。
(あぁ・・・まだ見てないDVDがいくつか溜まってたな・・・どうせ明日は起こしてくれるし・・・朝まで見てるか・・・)
こうして駄目な兄は駄目な計画を立て、春の夜道、家路へと向うのだった。


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